蠢動-しゅんどう-

「蠢動-しゅんどう-」に寄せて

高橋克彦(作家)
私にとってはおよそ五十年前の小林正樹の「切腹」以来の大傑作。
風格と緊張の波に胸が打ち震える。 こんな感動をまた味わえるとは思わなかった。
未熟な者は観なくていい。
日本映画はまだ死んではいなかった。
けれどこれを超える作品はまた何十年と出ないだろう。
出会えたことをただ感謝する。
高橋伴明(映画監督)
この映画を「武士道」と「人間道」の相剋と捉えることは正しいのだろうか。
私には寧ろ「武士道」と「人間道」の相生にみえる。
相生しあうが故に、残酷に美しく、無残に哀しい。
久々に映画の「本道」を観た。
前田有一(映画評論家)
85点(100点満点)。日本人よ、これが映画だ。
おそらく2013年公開されてた内外すべての映画の中で、もっとも熱い情熱を注がれた映画作品である。
出来映えもすこぶるよく、まさに渾身の1本と呼ぶにふさわしい。
荒俣宏(作家)
三上康雄監督の荒御霊(あらみたま)が大太鼓の轟音と共に劇場中が震え渡る!
中島貞夫(映画監督)
時代劇に暴挙にも似た試みが始まった。
時代劇「蠢動-しゅんどう-」を監督する三上康雄が、その台風の眼だ。
暴挙は、新しい世界を拓き、新しい風を生む。
閉塞状況に風穴を空けるかもしれない彼の暴挙に、私は熱いエールを送る。
西脇英夫(映画評論家)
久しぶりの本格時代劇。見事な仕上がり
俳優すべてが説得力のある演技で、脚本も良くできていて、感動した。
じょ~い小川(映画ライター)
俳優、監督の熱気がカメラから伝わり、時代劇史上屈指の映像美に驚かされた。
21世紀を10年過ぎた現代に見事に蘇った本格派時代劇。
浦川留(映画ライター)
端正で力強い正統派時代劇。
室内のわずかな灯りや窓辺にうつろう光のほのぐらさ、火や水や木や雪の静けさと美しさ、ベテラン役者たちの貫禄充分なたたずまい。
シンプルで行間のあるストーリーは、登場人物たちのさまざまな思いが語られることなく澱のように沈んでは時おり浮かびあがるようなすごみを帯び、クライマックスのずっしりと見ごたえのある殺陣へ。
自主映画出身の三上康雄監督、入魂・渾身の1本。
遠藤安(映画ライター)
色と音を削り込み、構図からキャスティング、すべてにこだわり抜いている。
「自分の見たい時代劇を撮る」と決めた監督の意思が強く感じられる作品。
大西愛(映画ライター)
武士の義と藩命に揺れる男を中心としたドラマ。
観終わった後、誰かと語り合いたくなる映画。
最近の時代劇に物足りない方、必見。
増田明男(フジテレビ・解説委員)
地方武士の静かな図太い呻きが、一貫して聞こえる。
現代社会にも通じる、心に重く響く映画。
春風亭昇太(落語家)
全ての登場人物に使命があり、道理がある。
それぞれの真っすぐな想いが交差するストーリーは日本の映画でなければ産み出す事は出来ないだろう。
悪役が一人も出てこない時代劇なんてあったんだ。
前島誠二郎(映画監督)
男たちの緊迫した駆け引き、その中で差し込まれる藩士の姉の女性的空間との対比が心地よい前半の「静の部」
そして、魂の和太鼓が鳴り響き一気に突っ走る後半の「動の部」。
監督の狙いどおり、音楽を溜めに溜め後半に爆発させる演出が観る者すべてを討つ。
追う者、追われる者、藩士たちそれぞれの感情と行動が太鼓のリズムで表現され、5.1chの重低音と共に全身に突き刺さる。
「蠢動-しゅんどう-」それは、まさに激動の映画。真の劇場映画だ。

榎木孝明(俳優)、ペリー荻野(時代劇研究家)、平池由典(文化通信・記者)の長文コメントはパンフレットに掲載しています。

(敬称略・順不同)